CLINIC COLUMN コラム

ボトックスでシワを撃退しよう!

2024.09.08

ボトックスのはじまり

そもそもボトックス注射と言われるA型ボツリヌストキシンは、神経筋接合部でのアセチルコリンの放出を阻害し神経を麻痺させます。もともとは斜視の治療に使用されたのがボトックス治療の始まりです。その後、爆発的に広がり眼瞼痙攣などの筋緊張性疾患に多数用いられてきました。
そして、眼瞼痙攣の臨床試験を行った際に患者の眉間や目尻のシワが消えていましたためボトックス治療によるシワ治療についての世界初の論文が報告されるようになり、A型ボツリヌストキシン(ボトックス注射)はシワ治療の代名詞となりました。

1989年に米国食品医薬品局(FDA)により眼瞼痙攣と斜視の治療で承認を受けて以降、A型ボツリヌストキシンに適応が拡大され続けています。交感神経系で刺激されるエクリン汗腺の分泌を抑制するため2004年には腋窩多汗症も承認をされ高い治療効果を認めています。

何歳からでもボトックス

 

最近では20代から30歳代からボトックス注射を受ける方が増えています。
皮膚の弾力性が低下し始めるに伴い、眼の周囲や眼瞼下方、眉間、前額部などの顔を動かす時に最も影響を受けやすい部位にリラックスした状態でも小ジワが出現し始めます。それによるシワの形成を予防するためボトックスを使用することがトレンドとなっています。将来、シワが刻まれることを予防するためにボトックス注射を受けています。

また、眉間や額にすでに固定ジワがきざまれている40歳代の方もボトックス治療を数年間行えば表情ジワと同様にきざまれた固定ジワについても薄くなる可能性があります。

また、小ジワの改善だけではなくボトックスにより毛穴の開きを減少させ顔のハリや耀きをもたらすこともできます。患者様のお声で例として、額のボトックス注射をしたところ、額の小ジワが改善しハリが出たことによりツヤ感、肌のなめらかさも感じられる方が多いように感じます。
そのためボトックス注射はアンチエイジング治療においても、とても魅力的といえます。

それと同時に、表情筋によって人は怒り、悲しみ、幸せなどの感情を表現できます。誤った場所への過度のボトックスは感情表現の幅を顔から奪うことになりマスク様顔貌や前額が固まったような表情を引き起こしたり、満面のにっこりとした目で笑うことができにくくなってしまいますので、クリニック選びはとても重要です。

ボトックス治療ですべてのシワが改善される?

どんなシワにもボトックスは効果的かというとそうではありません。

シワは表情シワと固定ジワに大きく分類できます。
表情シワの典型例は、眉間のスジや目の周りのカラスの足跡が挙げられます。
一方、鼻唇溝(ほうれい線)や眉間の縦ジワは深い固定ジワの典型例です。

シワの形成過程を調べたところ、表情ジワが小ジワとなり、皮下組織の減少に伴い徐々に深いシワへと進行することがはっきりしています。
ボトックスがシワ治療に効果があると話題になり、多くの人がどんなシワも解決できると考えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんがそれは誤りです。
ボトックスは額、眉間、眼周囲、鼻背、口回り(ガミースマイル、人中など)に対して用いられますが深い固定ジワに対しては効果的ではありません。
ボトックスは鼻唇溝(ほうれい線)やマリオネットライン、頬骨や頬のスジの治療としては一般的には勧められません。その理由として、この領域への注射は大頬骨筋の麻痺が生じ、ボトックス注射をすることで表情が不自然可能性があるからです。代わりにボトックスが適さない部位のシワを改善したい場合には、皮膚のハリを出しシワを修正するヒアルロン酸注入を行います。
そのため、ボトックスはすべてのシワに万能ではなく、シワの種類や状態に応じて最も適切な治療法を選択する必要があります。

ボトックス注射のシワ予防効果

顔の表情筋はほかの筋肉と異なり、筋繊維が真皮に直接付着しているため、笑ったり、泣いたりとする際にこれらの筋肉が繰り返し収縮され、表情ジワが形成されます。若い肌は弾力性があり表情を作ってもそのあとに表情ジワは完全に消えてしまいますが、高齢者の肌は弾力性がないため完全には元に戻らずシワが固定されてしまいます。
そのためにボトックスで表情筋を弛緩(ゆるませる)させることで顔の表情を軽減させます。上記でも述べたように、顔の表情筋は筋膜で分離しているわけではなく、直接付着し絡み合いほぼ左右対称の顔や表情を作り出しています。
ボトックス注射により顔の表情筋の均衡が崩れると、対側の筋肉の動きがよりハッキリと感じられてしまうことがあります。麻痺していない部分の筋肉が代償的に過活動となるからです。その結果として、顔の表情に微妙な変化が現れてきます。

まれに、注射部位の近くの注射を打っていない部位(麻痺していない部位)に新しいシワが作られることがあります。
例として、目の外側(目尻)に注射をし、目の外側が麻痺し皮膚が動きにくくなるとシワは内側に向かって押し出されるからです。
同じように眉間への注射後に鼻背部(バニーライン)に新しいシワができることがあります。
また、比較的多い副作用としてスポックブローという事象があります。額の中央への過剰な注射や目の外側への少量の注射が原因となり眉尻だけがつりあがるため起きてしまいます。

副作用としては内出血斑があります。これは注射部位の近くの血管にあたり出血が起こることで生じます。その際はガーゼでやさしく圧迫します。注射痕も内出血斑の一つであり同様に対応します。

また、表情の変化も副作用としてあげられます。笑った際のシワを全て消してしまうとマスク様顔貌になり、笑ったときに怖い印象すら与えてしまいます。そのためシワの状態に応じて適切な量を注射することが大切になります。ベストな治療結果を得るためにボトックスを注射する前に必ずシワの状態を確認してから施術をしています。

眼瞼下垂もまれに起こる副作用です。
目回りのシワにボトックス注射をする際に薬剤が広がり、瞼を開く筋肉が麻痺してしまうことがあります。対策としてボトックス注射後に、マッサージはもちろんのこと血流がよくなる長風呂や激しい運動も避けていただくよう説明しています。

本来、ボトックス注射は3~6か月ごとに行っていくと効果を適切に感じられます。20歳代はまだ早いのではないかと思ってしまうかもしれませんが、ボトックスには予防効果があるため、繰り返し注射をすることでシワを取り除くではなく、シワの進行を防ぐことができます。
実際には繰り返し治療をすることによって治療開始時よりもさらにシワが減少すると多くの文献で明らかになっています。眉間のシワが改善された理由の1つに、無意識に眉間をしかめてしまう表情が注射で修正されたからです。このような予防効果がみられるため、20歳代からボトックス注射を開始する患者様が近年は多くなっています。

ボトックス注射は表情ジワに特に効果があり、予防的に打っていくとシワの進行を防ぐことができます。また、小ジワの改善だけではなく毛穴の開きを減少させ顔のハリや耀きをもたらす効果もあるためアンチエイジング治療においてもおすすめと言えます。
そして、一人ひとりの顔が異なるように表情筋の発達には個人差があるため、それぞれの患者の状態に合わせた個別のアプローチが必要です。これらを踏まえ、技術力の高い経験豊富な医師に任せる必要があります。

パルム美容クリニックでは無料でカウンセリングを行っています。
お気軽にご連絡ください。

パルム美容外科院長 山田 太郎

この記事の監修医師

パルム美容クリニック 院長 吉井 涼太

元大手美容クリニックの指導医として数多くの施術を担当。質の高い美容医療を静岡の患者様に提供するため、「パルム美容クリニック」を2024年に開院

経歴

  • 藤田医科大学 医学部 卒業
  • 近畿中央病院
  • 大手美容外科 中野院院長
  • 大手美容外科 静岡院院長
  • 藤ナチュレ美容クリニック 銀座院
  • パルム美容クリニック 院長

資格

  • 美容外科学会(JSAS)会員
  • ボトックスビスタ® 認定資格医
  • ジュビダームビスタ® 認定資格医
  • ジュビダームビスタ®バイクロス 認定資格医